Our Treatments

クスリの使い方について

◆心療内科において患者様がもっとも関心をお持ちになり、かつ
不安に思う部分が多いのが「クスリの使い方」ではないでしょうか?
疾患の分類について」で記載した疾患の分類や、その成り立ちからわかるように、
クスリをほとんど、もしくは全く使わずに改善が望める疾患と、
クスリによる治療が必要となる疾患というのは、診断病名によって明確に区別されます。
そのため、クスリを使用する前に、病気の診断が先になされるべきであり、
症状に対して、とりあえずクスリを使用する、というのは間違ったクスリの使い方です。
メンタル関連疾患の治療においては、対症療法は望ましいことではありません。

◆心療内科で使用されるクスリは、「向精神薬」と呼ばれ、厳しい法規制の対象にあります。
使い方を誤ると、非常に危険であり、副作用や依存性のあるものもあります。
そのため、向精神薬の内服に関して、抵抗のある方が多いというのも十分理解できます。
しかし、そうした危険なクスリがわざわざ存在している理由というのは何でしょうか?
それは、それらのクスリでなければ、治癒が望めない疾患が一部に存在するからです。
疾患分類で言えば、内因性疾患と一部の外因性疾患では、薬物治療が必須となります。

◆なお、向精神薬の成分と類似もしくは同等のものは、
一部の胃薬や吐き気止め、抗アレルギー剤などにも含まれ、広く使用されております。
また、現在国内で流通しているすべての向精神薬は、
日本における厳しい薬剤の審査をパスしたものであり、正規の使用法をしている限りは、
風邪薬や生活習慣病の薬と同等の安全性が確保されています。
クスリに関する正しい知識を患者様に伝える事も我々の務めであります。

◆私たち医者もインターネット上において、患者様の交流サイトや掲示板などを
目にする事がありますが、その中でも「クスリ」に関するご意見は特に多く、
薬の銘柄に関して並々ならぬ「こだわり」を持った記述を見かけることもあります
しかし、その内容のほぼすべてが、私たち医者の目から見て多くの間違いを含んでいます。
大半のご意見は、特定のクスリの効果や副作用に関して論じるのみで、
実際に服用されている方の病名や症状の程度の記載がありません。
また、そのクスリが使用されるに至った経緯の説明もありません。
クスリの薬理作用は性別、体重、投与方法、投薬期間、生活習慣、併用薬、病名、症状
などによって大きく異なりますし、必ずしもすべてを自覚できるわけではありませんので
患者様の主観的な「飲みごこち」からクスリを評価したり、
他の方に見られた効果を自分にあてはめて考えることは非常に危険です。
クスリを評価・判断する際に重要となるのは、種類や銘柄よりも、
その使い方と患者様の反応(効果や副作用など)との相関関係です。
インターネットで不正確な知識を得るくらいなら、是非私たちに相談してください。
私たちはクスリの専門家ではありませんが、クスリの使い方に関しては専門家です。

◆クスリの作用と副作用は、諸刃の剣とよく表現されます。
「よく効くクスリを作るのは簡単だ。しかし副作用のないクスリを作るのは難しい。」
これはクスリの専門家がよく言うセリフです。しかし患者様にクスリが使用される際には
そのクスリの作用によるメリットが副作用のリスクを大幅に上回っていなければなりません。
これは、科を問わず、クスリの使用における大前提となります。

◆私たちはメンタル疾患に限らず、クスリの使用は必要最低限にすべきと考えております。
また、クスリ以外にも治療に有効な方法がある場合は、積極的にそちらも考慮します。
特にストレス関連疾患や、うつ、不安などの心因性疾患の場合は、
原因となっているストレスに対する、精神療法などの人的なケアが必要不可欠であり、
クスリの使用のみでは根本的な治療は望めません。
ただし、治療上、患者様の状態に応じて、どうしてもクスリが必要な場合には、
その必要性と副作用のリスク、内服の予定期間について詳細にご説明いたします。
当院では、クスリの使用において最も重視すべきは、
「患者様がご自身に処方されたクスリに対して、ご理解、ご納得していただいた上で、
安心して身をゆだねていただく」ことだと考え、
クスリを対症療法的に使ったり、漠然と継続して処方することは一切ございません。

◆私たちは、疾患の診断と、その原因に応じた治療という大前提を大切にします。
「治療法は、クスリだけでない。どうしてもクスリを使用する際には、必要最低限に。」
これは他科では当たり前に実践されている診療です。

高血圧の治療では、いきなりクスリは使わない。
まずは減塩食事療法から始める。
高血圧の原因は、心臓によるものか?腎臓によるものか?はたまた動脈硬化か?
徹底的に全身を検査する。医者の勘で決めたりしない。
原因が判ったら、それに対するクスリを使用し、栄養指導を実施する。
決して、経過観察を決め込んだりはしない。そして糖尿病の薬をオマケしたりもしない。

うつ病の治療でも、いきなりクスリは使わない。
まずは環境整備や、精神療法から始める。
うつ病の原因は、内因性か?心因性か?その心因はいったい何なのか?
徹底的に心理的背景を精査する。医者の勘で決めたりしない。
原因が判ったら、それに対するクスリを使用し、カウンセリングを実施する。
決して、経過観察を決め込んだりはしない。そして安定剤をオマケしたりもしない。

私たちは、心療内科においても、当たり前の診療を当たり前に行います。

このページのTOPへ
治療について インデックスに戻る